DEPARTURES  おくりびと

滝田洋二郎監督。本木雅弘主演、山崎努、広末涼子。アカデミー賞外国語映画賞受賞、モントリオール世界映画祭グランプリ。2008年。

映画「おくりびと」【TBSオンデマンド】

<ストーリー>
念願のチェロ奏者として東京でオーケストラに所属していた小林大悟は、突然の楽団解散で夢の限界を知り、チェロを売り、妻の美香とともに故郷の山形へ帰ってきた。亡くなった母の残した家で暮らしながら就職先を探していた大悟は、新聞で高給保証の「旅のお手伝い」と書かれた求人を見付け、すぐに面接へと赴く。社長は履歴書もよく見ずに即「採用」と決め、今日の分のお金までくれた。しかしてっきり旅行代理店か何かと思っていた大悟は、そこが納棺を業務にしていると知る。妻には「冠婚葬祭の仕事」としか言えない。それでもきちんと出社すると、社長に呼び出され、納棺解説DVDの遺体役をやらされる。さらに初めての仕事が死後2週間たって腐乱した老女。大悟は壮絶な状態に嘔吐し、友人の母が経営している銭湯で必死に体を洗った。やがて少しずつ仕事に慣れ、納棺師の素晴らしさを理解し始めた大悟だが、友人から「もっとましな仕事をしろ」、妻からは「そんな穢らわしい仕事を続けるなら家を出る」と言われ、実際に妻は実家に帰ってしまう。もう辞めると社長に告げようとするが、社長が仕事を始めたきっかけや話を聞いている内に、そんな気持ちも消えていく。そして一人前になったと思われる頃、妻が妊娠したと戻ってきた。「子どもに言える仕事に就いて」とまた辞めるように言われていたその時、あの銭湯をしていた友人の母が亡くなったとの連絡が入る…。

<感想>
アメリカでDVDがリリースになり、ようやく観ることができました。ストーリーは、伏線を全て上手に回収する、でもその分、先が容易に読めてしまうものでしたが、実によく練られた脚本だと思います。ラストへの展開には、ああ、やっぱりと思いながらも、涙、涙。素敵なシーンがたくさんありました。私が特に好きだったのは、銭湯の常連だった老人が火葬場の職員で、故人の話をするところ。こういうのって、きっとあると思うんです。あとベタですが、石文も良いエピソードですね。本木雅弘と山崎努の演技に魅せられました。良作、だと思います。