ジュリー・テイモア監督。アンソニー・ホプキンス主演、ジェシカ・ラング。シェークスピアの悲劇『タイタス・アンドロニカス』の映画化。1999年。
<ストーリー>
ゴート族との戦いからローマに帰ったタイタス・アンドロニカスは、戦死した息子たちを弔うため、捕虜にしたゴートの王子を生贄にする。長男を殺された女王タモーラは、残った次男、三男と、密かにタイタスに復讐することを誓う。ローマでは皇帝が亡くなり、長男サターナイアスと次男バッシアヌスが後継者の座を狙っていた。護民官らは後継にタイタスを指名するが、彼は歳を理由に辞退。先帝の遺児と揉めることを恐れ、タイタスは自分の代わりにと長男サターナイアスを皇帝に指名する。
皇帝となったサターナイアスは、弟バッシアヌスの婚約者ラヴィニアを自分の皇后にと指名。タイタスは祝いに、ゴート族の捕虜であった女王タモーラとその息子達、タモーラの愛人で黒人奴隷のアーロンを皇帝に贈る。恩赦として捕虜たちは自由の身になり、美しいタモーラに目を奪われた皇帝は、彼女を自分の側に置くことにする。
城から出たタイタスらの前にバッシアヌスが現れ、元婚約者のラヴィニアを奪う。タイタスの弟マーカスや息子たちも彼に賛同。タイタスは息子のひとりを殺して彼らを引きとめようとするが、皇帝はすでにラヴィニアに興味を失い、タモーラを皇后にし、タイタス一族に追放を命じた。そんな皇帝にタモラはとりなし、タイタスらを許すよう説得。しかしそれはタイタス一族への復讐の好機を得るためだった。
アーロンは、ラヴィニアをめぐって兄弟で争うタモーラの息子デミトリアスとカイロンに、ラヴィニアを襲わせようと策略を練る。ディミトリアスとカイロンは、狩りの途中でふたりきりになったバッシアヌスとラヴィニアを襲い、バッシアヌスを殺害。ラヴィニアを強姦した上に舌と手を切り落とした。
アーロンにおびき寄せられたタイタスのふたりの息子は、落とし穴に落とされる。そこにはバッシアヌスの遺体があった。激昂した皇帝に弁解の機会も与えて貰えず、ふたりはバッシアヌス殺害の犯人として、拷問の末処刑されることになるという。タイタスはふたりの命乞いをするが、むなしくも彼らは連れ去られる。狩りの途中に沼に出たマーカスは、舌と手を切られたラヴィニアを発見する。
使者としてアーロンがタイタスの元を訪れ、「息子の命が惜しければ手を差し出すように」と言う。その通りタイタスは自ら左手を切って捧げるが、夜になって戻ってきたのは息子たちの切り取られた首だった。タイタスは皇帝とタモーラらに復讐することを誓う。そしてローマを追放されることになっていた息子ルシウスに、ゴート族を率いてローマを攻めるように言った。
マーカスは杖を使って砂地に字を書くことを思いつく。ラヴィニアはそれを使い、自分を強姦し手と舌を切り落とした者の名前を書いた。タイタスはそれを見てお触れを出した。それを読んだタモーラはタイタスが気が触れたのだと、デミトリアスとカイロンを連れて彼の様子を見に来る。しかしタイタスは正気だった。タモーラが帰ると、残った息子たちを捕らえて殺害する。
ルシウス率いるゴート軍がローマに攻め入ろうとしていた。皇帝はタイタスの家で和平交渉をすることを求める。そして一同はタイタスの家の食卓についた。その場でタイタスは、皇帝の助言に従い、強姦で純潔を失ったとしてラヴィニアを殺害。その後皆に肉のパイが振舞われるが、それはデミトリアスとカイロンの肉で作られていた。タイタスはそれを知ってショックを受けているタモーラをその隙に殺害。そして彼は皇帝に、皇帝はルシウスに殺された。
ルシウスは新しい皇帝となり、捕らえられたアーロンは生き埋めにされた。(Wikipediaより転載)
<感想>
何とも不思議な映画でした。奇抜な演出で、これは夢なのかどうかと思っている内に、その世界に入り込みます。その世界は恐ろしく残酷で、血生臭いヨーロッパの古典の世界。グロい、実にグロい。トラウマになる人もいるだろう残虐さ、復讐、復讐の物語です。アンソニー・ホプキンス、さすがの演技でした。しかしシェークスピアは本当にエグいですね。