DISTRICT 9  第9地区

ニール・ブロムカンプ監督。シャルト・コプリー主演、ジェイソン・コープ。ピーター・ジャクソン制作総指揮。2009年。

第9地区 (字幕版)

<ストーリー>
28年前、南アフリカ共和国のヨハネスブルグ上空に宇宙船が現れた。船内にいたのは、100万を超える宇宙人難民。彼らはその容貌の醜さからエビと呼ばれ、第9地区という共同居住区に隔離されるが、やがてスラム化し、住民の人間と問題を起こすようになる。そこで第9地区を管理する超国家機関MNUは、エイリアンの強制移住を決定。その責任者に選ばれたのが、ヴィカス・バン・デ・マーウェだった。昇進だと親族、友人は喜ぶが、僻地への強制移転は困難な仕事で、ヴィカスは失敗は許されないとプレッシャーを掛けられる。エイリアンの各居住地を訪問し、承諾書にサインを貰うという仕事をしていたヴィカスは、ある場所で薬品を顔に噴射してしまう。その薬品は押収したが、彼の体はみるみる内にエイリアンの細胞に蝕まれていき、MNUの人体実験対象者にされてしまった。彼の望むのは妻タニアとの穏やかな日々。ヴィカスは第9地区へ逃げ込み、そこであの薬品をみつけたバラックに潜り込む…。

<感想>
最初はエイリアンの難民キャンプの様子をドキュメンタリー風に描きます。南アフリカといえば、白人至上主義のアパルトヘイト。この第9地区は、その差別の隠喩となっています。監督も主演者も南アフリカ出身です。
スゴイ武器を持っているのに侵略する訳でもなく、仲良くしようとする訳でもない。宇宙船が作れるくらい賢いクリストファーというエイリアンもいるのに、難民に甘んじているという設定が斬新です。そしてヴィカスは余りに普通の人間。中間管理職で、正義の味方というわけではなく、愚かな普通の人間、ただ妻を愛し、自分の幸せを求めています。
ヴィカスが擁護服も着ず、何故ああも簡単に感染するようなことをしてしまうのか。あの液体って、そもそも何なのか。そんな疑問が引っかかって仕方ありませんでした。でも、この映画はそういう点はスルーすべきなのかも知れません。そういうこと以上に素晴らしい物がこの映画にはあります。ただ、私はグロさは全く気になりませんでしたが、どちらかと言えば男性向けの映画かと思いました。
ラストの3年後にはガーンという感じでした。ここで終わりなんだぁ、とラストシーンも合わせてしんみりしてしまいました。