トミー・オヘイヴァー監督。エレン・ペイジ主演、キャサリン・キーナー、ジェイムズ・フランコ、ブラッドリー・ウィットフォード、ヘイリー・マクファーランド。2007年。
<ストーリー>
1965年、インディアナ。シルビアとジェニーの姉妹は、巡業カーニバルで働く両親から、6人の子どもを持つガートルードというシングルマザーの家に、週20ドルで預けられることになった。最初はその家の子ども達と仲良くやっていたが、チェックの送付が遅れたことをきっかけに、ガートルードは折檻を行うようになる。さらにガートルードの娘、ポーラが自分の妊娠で不倫相手に振られたはらいせに、シルビアが悪い噂を流していると嘘を吐き、それから躾という名の折檻、虐待は激しくなっていく。地下室に監禁し、子ども達にも虐待を要求。罪の意識を感じなくなった子ども達は、仲間を連れてきて、面白がってシルビアを殴り、煙草の火を押しつけ…。
<感想>
実際にあった事件の映画化。
テンション下がると聞いていましたが、本当に下がりました。でも観なければ良かった、というのではなく、自分が無力で助けてあげられなかった(事件当時、生まれてもいないので当然無理なんですが、それでも)という意味での、落ち込みです。何とかして逃げ出せなかったのか、もし妹が警察に走ったら、親が一度でも様子を見に来ていたら、通報する近所の人がいたら、そんなもしをたくさん考えました。
このお話で怖いのは、こんなにたくさんの人が関係していたのに、誰も虐待に疑問を持たず、麻痺していたことです。姉妹も、何故こうなる前に逃げ出せなかったのか…子どもはこんな状況でも大人(親代わり)の保護を必要としてしまうのか。ガートルードをあそこまで追いやった状況説明も映画ではありましたが、全て自業自得、ましてシルビアには何の落ち度もありません。なのに…切ないです、とても切ないです。
実際にあった事件についても調べましたが、映画以上に悲惨でした。「インディアナ 少女虐待事件」で調べると、いろいろ出てきます。シルビアの写真も見ましたが、本当に可愛い少女でした。
ラストに挿入されたシーンに、製作者のシルビアに対する優しい想いを感じました。本当にこうなれたら良かったのに。気持ちはきっと両親の元へ飛んでいたのでしょうね。せめてシルビアが安らかに眠っていることを願います。