アンジェラの灰  ANGELA’S ASHES

アラン・パーカー監督。エミリー・ワトソン、ロバート・カーライル、マイケル・レッグ、キアラン・オーウェンズ、ジョー・ブリーン。ピュリッツァー賞受賞のベストセラーの映画化。1999年。

アンジェラの灰 特別版 [DVD]

<ストーリー>
世界的大恐慌の1935年、アメリカ、ブルックリン。アイルランドからの移民家族マコート家に女の子が誕生した。長男フランク、次男マラキ、三男・四男の双子オリバーとユージーンの下に出来た待望の女の子に、父マラキはマーガレット・メアリーと名付け可愛がった。しかし母アンジェラの想い空しく、貧困のためマーガレットは数日で天に帰ってしまう。それを機に一家は、故郷アイルランドのリムリックへアンジェラの親戚を頼りに戻ることにした。しかし出迎えた家族の態度は冷たく、アンジェラの姉の家の近くに小さなアパートを借りることになった。北アイルランド出身の父マラキは気位が高く、仕事もないのに施しを受けることを拒む。そのため暮らしは楽にならず、オリバー、ユージーンが次々に亡くなった。マラキは辛い現実から逃げるように酒に溺れるようになり…。

<感想>
観始めてすぐに子ども達が次々に亡くなっていくという鬱展開…子ども達のために何をしてでも稼がなければならない父親はプライドだけが高く、貰ったお金もすぐに飲んでしまう。あー、何という不幸。小さい内は慕っていた子ども達も、段々と状況を把握して、冷たい態度を取るようになる。マラキは本当に心の弱いしょーもない人なのだけど、でも子ども達のことはとっても愛してたんですよね。景気が悪くなければ、この家族は幸せでいられたのかも知れないのに。切ないです、そういうマラキを、ロバート・カーライルは上手く演じていたと思います。フランク役の少年達もとても良かったです。宗教が深く根ざしていて、祈ることで救われていくところは、とても興味深く思いました。母であるアンジェラ、彼女のことを罵り打ったフランク。どうしようもない現実に打ちのめされます。ホッとしたシーンもありました。ずっと冷たかったアギー伯母さんがフランクの初出勤のためにスーツを買ってくれたところ、泣けました。家族よりもここに一番感動しました。
面白いよ、と人に勧められる映画ではありませんが、良い映画だったと思います。でも落ち込んでいる時に観ると、さらに滅入ってしまうかも知れません。ラストは一応、希望を持たせています。