ジョン・ヒルコート監督。ヴィゴ・モーテンセン主演、コディ・スミット=マクフィー、シャーリーズ・セロン、ロバート・デュヴァル、ガイ・ピアース。コーマック・マッカーシー。ピューリッツァー賞受賞同名ベストセラー小説の映画化。2009年。
<ストーリー>
文明が崩壊して十数年、あらゆるものが朽ち果てた世界。荒廃した大地を南に向かって歩く父親と息子がいた。親子の全財産は、防水シート、ポリ袋、毛布、双眼鏡、そして拳銃だけ。わずかな生存者が皆、燃料と食物を探して彷徨い、ある者達は武装グループとなり、人喰い集団となった。父親は少年に「善き者」であること、心に「火」を宿していることを説く。厳しい現実の中、父親は少年の母がまだ生きていた頃の夢をよく見る。世界の終焉に生き残ることを拒否した、愛しい女性。しかし過去と決別するため、彼女の写真と結婚指輪を捨てた…。
<感想>
理由は出てきませんが、生き物がいなくなった灰色の世界…夢の中だけがカラフルで、その対比が美しいです。北斗の拳のような時代に、善き人であれと言いながら、自分たちの命を守るために非情にもなる父親は、大人ななら当然でしょう。そんな中、子どもならではの、少年の天使のような美しさ。母親役のシャーリーズ・セロンに似ている気がするのは、気のせいでしょうか。特に大きな事件が起きるわけではなく、最後まで淡々とした展開なので、飽きてつまらないと思う人も多いと思います。この映画は心の奥に語りかけてくる映画です。ラストはいろんな意味で泣けました。少年の心に灯っている「火」、父親の教えにじんと来ました。犬がいるって良いですね、ホッとします。