ハート・ロッカー  THE HURT LOCKER

キャスリン・ビグロー監督。ジェレミー・レナー主演、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ。アカデミー賞作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞受賞。2009年。

ハート・ロッカー(字幕版)

<ストーリー>
2004年夏、イラクのバグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーであるマット・トンプソン軍曹は、仲間のサンボーン軍曹やエルドリッジ技術兵らと遠隔操作ロボットを使い爆弾による爆弾処理に当たっていた。しかし爆弾を運んでいたロボットが故障、マットは防護服を身にまとい、爆発物に近づいた。処置が終わり、戻ろうとしたところ、それを見ていた男が携帯電話を使った遠隔操作で爆破、マットは殉職してしまう。マットの代わりにやってきたのが、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹。彼は死への恐怖などないかのように、危険を顧みず、爆弾処理を遂行していく。スモークをはって援護射撃が出来ないようにしたり、ヘッドセットをはずして連絡を取れないようにしたり。仲間達はいつ死ぬかも分からない緊張感の中、無鉄砲な彼に不安を募らせていく。そんな中、ブラボー中隊の任務明けが23日と迫っていた…。

<感想>
観ていて力が入りました。いつ爆弾が爆破するか、命を落とすことになるか…まるでその場にいるように緊張を強いられ続けます。爆弾処理のパターンもこんなにいろいろあるんだと思いました。観ているだけでこうなのですから、現場の人々はどんなにストレスを感じていることでしょう。最初、ジェームズの無鉄砲さはちょっと漫画的で、痛快でもありました。しかし彼も生身の人間。ちょっとだけ交流のあったイラクの少年に情を感じたり、めったにしないという家族に電話をしたり、彼も帰りたいのかと思いました。なのに彼はまた戦地に赴くのです。戦争が麻薬のように彼を惹き付けるのです。ラストの虚脱感、いたたまれない想い。ジェームズにとっては、妻子との生活はもう耐えられないものなのでしょうか。心のバランスを失った人達に胸が痛みます。辛い映画でした。