新海誠監督。声、吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香。2004年。
<ストーリー>
日本が津軽海峡を挟んで南北に分割占領されている、もう一つの戦後の世界。北海道はユニオンに占領され、蝦夷と名前を変えていた。米軍統治下の青森に住む中学3年の藤沢浩紀と白川拓也は、蝦夷に建設されている巨大な塔に憧れ、いつかあの塔まで飛ぼうとヴェラシーラと名付けた白い小型飛行機を組み立てている。また2人は同級生の沢渡佐由理に恋心を抱き、夏休み中に親しくなった彼女を一緒に塔へ連れて行くと約束する。しかし突然、佐由理は姿を消してしまった。2人は言いようのない虚脱感から飛行機作りも止めてしまい、拓也は地元の高校へ、浩紀は東京の高校へと進学し、別々の道を歩き始める。3年後、佐由理があの夏からずっと原因不明のまま眠り続けていることを知った浩紀は…。
<感想>
予備知識無く観始め、こんなにSFしているとは思わなかったので、途中からの展開に戸惑いを感じました。中学時代の様子が余りに「懐かしい日本」していて、すっかり青春映画のように思っていたので。日本の情景がとにかく綺麗です。電車の中の様子も、乗ったことがなかったら絶対に分からない描写で、逆にここまでするのか、と思いました。これだけで一見の価値があります。一方、背景に比べると、人物は下手だなあと思いました。声もぼそぼそと聞き取りにくいし、動きが変です。ストーリーの眠り続ける少女と世界を救うという言葉に、萩尾望都さんの『バルバラ異界』を思い出しました。発表は萩尾さんの方が早いし、全然違う展開でしたが。思い切りSFしているのに、とってもロマンチック。この組み合わせが、設定は面白いのに、いまひとつ上手くいっていない気がしました。