溝口健二監督。森雅之主演、京マチ子、田中絹代、小沢栄太郎、水戸光子。ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ銀獅子賞、イタリア批評家賞受賞作品。1953年。
<ストーリー>
天正十一年、戦国の世。近江国琵琶湖の北岸に住む、陶工である源十郎は、妻の宮木と息子の源市の貧しい3人暮らし。義弟の藤兵衛は侍を夢見ては、妻の阿浜にたしなめられているが、夢が捨てられない。焼物で一山当てた源十郎は、ささやかな幸せで良いという宮木を押して、さらに大量の焼物を作り、合戦間近の大溝城下に売りに行く。そこで陶器を多数注文したのが、朽木屋敷の若狭。商品を届けに行った屋敷で、源十郎は若狭と付き添いの老女から歓待を受ける。美しい若狭に迫られた源十郎はそのまま世を明かし、そこに住むようになった。ところが買い物に出た町で、老僧に死相を指摘され、源十郎は若狭と別れ、宮木の元へ帰る決意をする。一方、藤兵衛は馬と家来持ちの侍に出世し、故郷へと向かう途中、遊女宿で働いている阿浜に出逢う…。
<感想>
上田秋成「雨月物語」9話から「蛇性の婬」「浅茅が宿」の2つをアレンジした川口松太郎の小説が原型。古い映画ですが、映像の美しさもさることながら、ストーリーが面白いと思いました。この映画に出てくる3人の女性のなんと切ないことか。特に宮木の最後の語りには涙しました。男は莫迦ですね…。