THE PIANO TEACHER　　ピアニスト

ミヒャエル・ハネケ監督。イザベル・ユペール主演、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド。カンヌ国際映画祭グランプリ・主演女優賞・主演男優賞受賞。2001年。

＜ストーリー＞
ウィーン国立音楽院でピアノ教師をしているエリカ・コユットは、母親と２人暮らし。40歳を過ぎても恋人はなく、過保護な母から未だに独立できていない。ある日、個人宅での演奏会で、ピアノを弾くため母親と出かけたエリカは、美しい青年ワルター・クレメールと出会う。エリカの演奏に惹かれたワルターは、すぐに彼女に声を掛けるが、すげなくあしらわれてしまう。しかしエリカもワルターの演奏には心惹かれていた。ワルターは音楽院の試験に合格し、エリカの生徒となった。アプローチにも素直になれないエリカは、ワルターが優しくした女生徒に嫉妬をする。そしてそれに気付いたワルターは、トイレに閉じこもった彼女を連れだし、抱きしめキスをした。２人の想いは通じたかに見えたが、エリカの歪んだ性癖が２人に暗い影を落とし始め…。

＜感想＞
一連のハネケ監督作品を鑑賞しています。後味が悪いと言われている監督の作品…はい、これも後味が悪かったです。設定を読むと、男性経験の少ない中年女性教師と、ハンサムな青年の恋物語、かと思いきや、さすがハネケ監督。そうは簡単にいきません。エリカの母親により抑圧された生活で生まれた、屈折した性癖が、関係を歪めていきます。
エリカの性癖は、普通の男性なら、ワルターのように動揺するでしょう。人は自分が学んできたを、求めるのか。しかしファンタジーはファンタジーで、実際にやると全然楽しくなかったようで…自分でコントロールできるファンタジーを、人が同じようにしてくれるとは、思わない方が良いようです。
私はエリカをどうしても好きになれませんでした。境遇から来る性格はとても理解できるのですが、ダメでした。演技は素晴らしいです。ワルターも格好良かったです。