長井龍雪監督。声、水瀬いのり、内山昂輝、雨宮天、細谷佳正。超平和バスターズ制作の2作目。2015年。
<ストーリー>
成瀬順は小学生の頃、憧れていた山の上のお城(ラブホテル)から、父親と見知らぬ女性(浮気相手)が車で出てくるところを目撃する。順は二人が「お城から出てくる王子様とお姫様」だと思い込み、それを母親・泉に話したことにより、泉が事実を理解してしまったことから両親の離婚を招いてしまう。家を去る父親から「全部お前のせいじゃないか」と言われ、ショックを受けた順は夕景の坂道(階段)でうずくまって泣く。そこに玉子の妖精が現われ、「お喋りが原因で人を傷つけないため」という理由で、順の「お喋り」を「封印」した。
時は流れ、高校2年生になった順は、「話すと腹痛が起きる」という理由で他者とはメモか携帯のメールでしか意思疎通ができない。そのため、周囲の人々からは(小さくない事情があるのを認めながらも)「ヘンな子」という扱いを受け、クラスメイトとも没交渉だった。そんな順は、担任教師の城嶋一基からクラスメイトの坂上拓実・仁藤菜月・田崎大樹とともに「地域ふれあい交流会」実行委員に一方的に指名されてしまう。4人は普段から特に親しい間柄ではない上、指名されたこと自体に困惑・反発する。城嶋は会合をボイコットした大樹を除く3人に対し、出し物として過去に例のないミュージカルを提案し、順の心は動くが拓実と菜月には良い反応はなかった。その後、拓実からミュージカルをやりたいかと問われた順は、携帯で幼少の頃に起きた出来事を打ち明け、「玉子の妖精のかけた”呪い”のために話すと腹痛が起きる」と伝える。拓実は「歌なら呪いも関係ないかもしれない」と話す。帰宅した順は、歌うと腹痛が起きないことに気づく。
交流会の出し物を決めるクラス会で、拓実たちは候補の一つにミュージカルを挙げるが、大樹は喋れない順が委員ではできるわけがないと罵る。これに対して使えないやつはお前のほうだと逆に罵り返した拓実と大樹の親友の三嶋樹の間で喧嘩が始まってしまう。そのとき順は「わたしはやれるよ」という言葉をメロディーに乗せて発した。その後、拓実の携帯に「歌なら痛くない」という順からのメールが届き、菜月もそれを目にする。
その夜、泉から「喋らないこと」をなじられた順は、自らの生い立ちをモチーフにした物語を携帯で拓実に送り、さらに拓実の元を訪れて自分の言葉を歌にしてほしいと伝えた。拓実は順の物語をミュージカルにすることを考え、菜月と大樹も曲折を経て賛同する。クラス会での討論で当初は拒否感を示した他の生徒たちもやる気にはなったものの、主役級のキャストは実行委員に押しつける形となり、順は最も台詞(歌)の多いヒロインの少女役を、拓実はその相手の王子役を、大樹は少女を唆す玉子役を演じることになった。やがて、クラスの他の生徒たちもミュージカルを成功させるために一丸となる。その中で拓実の両親が離婚していたことを知った順は、ヒロインが刑死するミュージカルの結末をハッピーエンドに変えたいと拓実に相談する。拓実は「元の歌(『ピアノソナタ第8番 悲愴』「第2楽章」)にも順の気持ちが込められていたから両方を生かしたい」と、その上に「Over The Rainbow」を重ねるアレンジを発案し、それを聞いた順は涙をこぼして「私の王子様…」と思う。
しかし、交流会前日の夜、拓実と菜月の会話を立ち聞きして二人の関係を知った順は、ショックを受けて一人で学校から走り去る。その順の前に再び玉子の妖精が現れ、順に向かって「君は(言葉に出さなくても)心がお喋りすぎる」「もう、中途半端に閉じ込めるのは終わりにしよう」と告げる。翌日、順は登校せず拓実の元に「ごめんなさい」「ヒロインできません。調子に乗ってました。」「本当にすいません」という通知を送り[注釈 6]、行方をくらませてしまう。開演時間が近づく中、順の不在に他の生徒たちは不安のあまり動揺し、順への不信から怒りや焦りを募らせる。拓実は順の失踪を他の生徒に詫びた上で、「それでも舞台に立ってほしい」と自ら順を探しに行くことを申し出る。これに同意した大樹は、拓実と順の出番に代役を立てて乗り切るプランを出し、拓実を送り出した。
ヒロインの少女を菜月が演じる形でミュージカル『青春の向う脛』が開演する。客席では主役の変更に気づいた生徒もおり、泉は「やっぱり、ダメなんじゃない…」とつぶやく。必死で順を探す拓実は、廃墟になっていた山の上のお城(ラブホテル)で順を見つける。「喋ったりするから不幸になった、言葉は人を傷つける」と自暴自棄に主張する順に、拓実は「(自分が)傷ついていいから、お前の本当の言葉、もっと聞きたいんだ」と話しかけた。順は勇気を振り絞り拓実を傷つける言葉(罵倒)を叫び、拓実はそれをすべて受け止める。拓実は順に「お前と会えてうれしい」「お前のおかげで、俺、いろいろ気づけた気がする」と話し、それを聞いて順は立ち直った。その場を去る直前、順は「もう一つ言いたいことがあった」と拓実に好意を伝え、拓実は感謝しながらもほかに好きな人(菜月)がいると返事する。そして二人は既に始まっていたミュージカルに出演するため学校に向かう。順は第5幕で少女の「心の声」役として「わたしの声」(イングランド民謡「グリーンスリーブス」のメロディに日本語の歌詞を乗せたもの)を歌いながら会場(体育館)の観客席通路を歩いてステージにあがり、泉は涙をこぼした。楽屋に戻った順は他の生徒から温かく迎えられ、「みんなに迷惑かけて…なのに」と声に出して詫びながら涙ぐんだ。順は「本当に玉子なんていなかったんだ。呪いをかけていたのはわたし。玉子はわたし。一人で玉子に閉じこもっていたわたし自身。」と呪いが思い込みであったことに気づく。「心が叫びだす&あなたの名前呼ぶよ」の合唱でミュージカルが終幕すると観客席からは大きな拍手が送られた。後片付け中にゴミ出しに行った順は大樹からの告白(台詞の描写はなし)を受け、顔が真っ赤に染まる中、風が吹き、玉子の妖精の帽子が落ち葉と一緒に飛ばされていた。
拓実と順の「-玉子の中には何がある? いろんな気持ちを閉じ込めて、閉じ込めきれなくなって、爆発して、そして生まれた、この世界は、思ったより綺麗なんだ-」の台詞で物語は締めくくられる。(Wikipediaより転載)
<感想>
うむ、どうも私は、超平和バスターズとは相性が良くないようです。制作された作品はどれも観ましたが、感情を揺すぶるのは上手いとは思いつつ、どれも好きになれません。特に今作はダメでした。順が拓実に振られて、本当に良かったと思うくらい。考えずに酷く言うのと、知らないで事実を言ってしまうのは違うでしょう。最悪に胸糞は父親、何を娘のせいにしてるのか。母親の謝罪シーンが無かったのも嫌でした。残念作品。