LU OVER THE WALL   夜明け告げるルーのうた

湯浅政明監督。声、谷花音、下田翔大、篠原信一、柄本明。2017年。

夜明け告げるルーのうた

<ストーリー>
東京出身の中学三年生である足元カイは、日無町の父の実家で、父・祖父と三人で暮らしていた。日無は人魚の伝承のあるひなびた漁港だった。
感情を見せないカイは音楽が趣味で、夏休みが近づいた頃、自作の打ち込みを動画投稿サイトにアップする。それがきっかけで、同じクラスでバンド「セイレーン」を組んでいる遊歩と国夫からメンバーに誘われる。学校での進路調査でカイは何も書かずに提出した。湾を遮るお陰岩の外側にある人魚島でのバンドの練習で、カイが遊歩の歌い方を注意すると、怒った遊歩はその場から立ち去ったが、そのあともカイと国夫は誰かの歌声を聞く。帰路、3人は密漁中の青年2人と遭遇、因縁をつけられてカイのスマートフォンは海に捨てられる。しかし青年の乗る船は突如盛り上がった海水に転覆、難を逃れた3人は港に帰り着いた。帰宅したカイが離れの舟屋にいると、海水の塊に入った少女の人魚が目の前に現れる。人魚はルーと名乗り、カイのスマートフォンを渡した。音楽を流すとルーの下半身が鰭から足に変わることをカイは知る。
翌日も人魚島で「セイレーン」の練習をしていると、ルーが現れて下半身を足に変えて踊った。島からの帰りには、ルーが船の周りの海水を浮上させて港まで運ぶ。3人はルーの存在を自分たちだけの秘密にすることを決める。2人と別れたあと、カイは近くにルーがいることに気づく。カイは音楽を流したカセットデッキを持って、パーカーを着せたルーと夜の町を歩く。公園でルーがカイやいろんなものに対して「好き」と口にしたのに対し、カイは両親が離婚していることを打ち明け、この町も誰も好きではなかったと述べる。野犬や捨て犬の収容施設に来たルーは、海水を召還して中にいる犬を流出させ、犬に片っ端からかみついて下半身が鰭となった「犬魚」にしてしまう。夜明けとともにルーは「犬魚」を連れて海に去った。
翌日、カイは国夫の実家である神社で人魚の伝承について聞く。それはその昔捕らえた人魚を日に当てると燃えだしてしまい、その後に「お陰様のたたり」によって湾内だけ水位が上昇し、人魚の遺体を持ち去ったというものだった。
海で亡くなった人を浜辺で慰霊する「灯篭祭」での演奏を「セイレーン」は許される。国夫はルーにボーカルをさせようと提案、当日クーラーボックスの中にルーを入れて待機する。だが、ルーは自分で音楽を流してビーチパラソルで日光を防ぎながら外に出て踊り、街の人々も勝手に踊り出してしまう。音楽が止まった瞬間にルーの下半身が鰭に戻り、その様子は居合わせた人々のスマホなどに捉えられる。スマホの映像はSNSなどで瞬時に広がり、人魚騒動が持ち上がる。遊歩の祖父である町内会長は、これを契機にかつて一度閉鎖した人魚島の「人魚ランド」を再開させることを決める。漁民たちは人魚の言い伝えを恐れてそれに反対した。カイはもうバンドをやらない、ルーをバンドに巻き込むことにはかかわらないと口にした。「人魚ランド」の仮オープンに「セイレーン」は出演することになり、国夫から誘われたルーは「みんなが好き」と好意的な反応を示すが、カイの気持ちは変わらなかった。
仮オープン当日、カイ抜きで「セイレーン」の演奏が始まり、やがてルーが登場して踊り始める。遊歩は舞台でダンサーに接触して転倒したが、音楽は止まらなかった。遊歩の祖父は、「保険」としてプロのバンドを呼んでいた。遊歩と国夫は途中で退出し、ひそかに来ていたカイからきつい言葉を聞いた遊歩はそのまま姿を消してしまう。ルーも演奏しているのがカイたちではないことを知り、さらにステージライトや大量のフラッシュに驚き、海水を召喚してその場から逃げ去った。カイは島から戻る船でスマートフォンを海に投げ捨てる。
町では様々な怪現象から、人魚に対する不安の声が上がる。ルーはカイのスマートフォンを届けに舟屋に現れたところを捕獲され、水産会社の屋内プールに閉じ込められた。遊歩が「人魚に襲われる」という書き込みをSNSに残したことで、ルーは失踪の犯人と疑われる。実際には遊歩は先輩と慕う伊佐木の家にいた。書き込みと失踪はルーに嫉妬した故の行動だったが、騒ぎになっていることを伊佐木から知らされ、プールに潜入する。そのとき、ルーを駆除するために天井が開かれ、日光が差し込んだ。ルーは叫び声を上げ、街の中でそれを聞いたルーの父は体から火を出しながらルーの元に駆けつける。だが、ルーともども釜の中に閉じ込められた。国夫の発案で、遊歩は町内放送を通じ、自分の無事とカイにルーを助けてほしいことを訴えた。
自宅にいたカイは放送を聞き、さらにルーが届けたスマートフォンに自分やルーの写真が入っているのを見る。カイはギターを持ってルーが閉じ込められたプールの前に向かう。そこにカイの父も現れ、自分の思った通りにやれとカイを励ました。カイ・遊歩・カイの父・遊歩の祖父はプールの排水口を開き海水を入れる。カイがギターを奏でると、元気を取り戻したルーの父は釜を破り、さらに海水を召喚すると空中に浮上させ、カイと遊歩もその中に招かれてルーと再会した。その後、遊歩の祖父が操縦するヘリコプターにカイと遊歩は引き揚げられた。
町では「お陰様のたたり」によって水没が始まっていた。伊佐木は避難放送を国夫に任せ、バスで町民を高台に避難させる。人魚たちも町民を自分の体に乗せたり、人のいる水塊を飛ばしたりして避難に協力した。だが、人魚たちは体力を消耗し、動けなくなっていった。夜明けが近づいたとき、カイはギターを携えてヘリコプターから人魚島に下り、歌を歌う。力を取り戻した人魚たちは海水を押し戻し、漁師たちも傘で日光を防いで人魚たちに協力した。町は救われ、お陰岩は崩壊してなくなった。カイはルーの前で、ルーのことが大好きだからずっとそばにいてほしいと叫ぶ。人魚たちは、町民の用意した傘を持ち、音楽に合わせて踊り出したが、まもなく一斉に姿を消す。日光を遮るお陰岩がなくなったため、人魚はこの海域にいられなくなったのだ。
夏休み明け、カイは父親に、「山の向こう」の高校に進学していつかこの町に戻り、世界の海に出たいと告げる。登校の途中、遊歩は東京の高校に進学すると国夫とカイに話すのだった。 (Wikipediaより転載)

<感想>
正直、あまり気乗りしなくて、なかなか観る気になれなかったのですが、観始めたら、直ぐに嵌りました。ルーが思っていたより、すごく可愛い!これは予想外。ポニョよりずっとずっと可愛い!皆で踊るシーンが良い。もっと長くして欲しい。ルーのパパ、既視感ありあり。遊歩の態度は想定内でしたが、ルーが燃やされそうになった時、もっと必死で止めて欲しかった。口で言うだけ??その後の態度は、まあ、良いけど。パパは燃えていた割に、全然、怪我とか無いんですね。「お陰さまの祟り」の設定が、いまいちよく分かりませんでした。あれは人魚がしているわけではないんですね…神様?土地の守り神?最後にお陰岩が無くなったと言うことは、神様もいなくなったと言うことなんでしょうか。町は寂れるのかなあ。なんか、それくらいの報いがあっても良い気はしましたけどね。そう言う話では、無いのかな。