AMERICAN SNIPER  アメリカンスナイパー

クリント・イーストウッド監督。ブラッドリー・クーパー主演、シエナ・ミラー、マックス・チャールズ、ルーク・グライムス。2015年。

アメリカン・スナイパー [DVD]

<ストーリー>
アザーンが放送される瓦礫だらけの町を、アメリカ海兵隊のM1戦車が地響きを立てながら随伴歩兵と共に進撃していく。そして、その後方の建物の屋上では特殊部隊ネイビー・シールズのスナイパーであるクリス・カイルがスナイパーライフルを手に掃討作戦の様子をじっと見守っていた。海兵隊の進路上に不審な親子を発見したカイルは、母親が子供にRKG-3対戦車手榴弾を手渡すのを確認し、上官に指示を仰ぐがはっきりとした答えは返ってこない。撃つのか撃たないのか。隣の海兵隊員は「間違ったら軍事刑務所行きだぞ」と忠告するが、カイルは子供に照準を合わせ引き金に指をかけた。
銃声と共に時代は遡り、カイルの幼少期へと戻る。テキサス州に生まれ、厳格な父親に狩猟を教わりながら育ったカイルは、初めての狩りで鹿を仕留めた興奮からライフルを地面に置いてしまい叱られる。ある時、弟をいじめていた巨漢を殴り倒したカイルは父親から「お前は弱い羊達を守る牧羊犬(シープドッグ)になれ、狼にはなるな」と教わるのだった。そして時は経ち、カウボーイに憧れロデオに明け暮れていたカイルは、1998年にアメリカ大使館爆破事件をテレビで見て愛国心から海軍に志願する。30歳という年齢ながら厳しい訓練を突破してシールズに配属され、私生活でもタヤと結婚して幸せな日々を送っていたカイルであったが、アメリカ同時多発テロ事件を契機に戦争が始まりカイルも戦地へと派遣される。
イラク戦争で狙撃兵として類まれな才能を開花させたカイルは、大きな戦果を挙げたことからいつしか軍内で「伝説(レジェンド)」と称賛されるようになるが、敵からは「悪魔」と呼ばれ懸賞金をかけられるようになる。また、後に過激派組織ISILへと変貌するテロ組織を率いるザルカーウィー容疑者を捜索する作戦へと参加したカイルは1000m級の射撃を行う元射撃オリンピック選手の敵スナイパー「ムスタファ」と遭遇し、以後何度も死闘を繰り広げる。繰り返される凄惨な戦いのなかでビグルスは戦傷により視力を失い、戦争に疑問を感じ始めたマーク・リーは戦死し、強い兄にあこがれて海兵隊に入隊した弟はイラク派兵で心に深い傷を負って除隊した。同僚や弟が戦場で傷付き、倒れてゆくさまを目の当たりにして、徐々にカイルの心はPTSDに蝕ばまれていった。戦地から帰国するたびに変わっていく夫の姿に苦しみ、人間らしさを取り戻してほしいと嘆願するタヤの願いもむなしく、戦地から帰国するたびにカイルと家族との溝は広がっていく。
4度目の派遣でサドルシティに防護壁を建設する工兵を狙うムスタファを倒すという任務を受けたカイルたちは敵の制圧地帯に展開し、ムスタファを捜索する。工兵を射殺したムスタファの姿を捉えたカイルは仲間に距離「2,100ヤード(1,920メートル)」と報告するが、陸軍の第75レンジャー連隊の隊員は見えるわけがないと疑う。「ビグルスのために」と放った一発の銃弾はムスタファを貫き、彼との長い戦いはついに幕を閉じたのだった。銃声を聞いた敵が殺到する中でカイルはタヤに衛星電話を掛け「家に帰るよ」と告げる。砂嵐の中で敵の包囲を突破して、友軍の装甲車に間一髪乗車したカイルは戦場を離れていく。その跡には地面に置くなと父親に言われていたライフルや大切にしていた聖書、そしてムスタファが残され、砂に飲まれていく。
カイルは四度のイラク派遣の後に海軍を除隊するが、戦争の記憶に苛まれ一般社会に馴染めない毎日を送っていた。しかし医師に勧められて始めた傷痍軍人達との交流を続けるうちに、少しずつ人間の心を取り戻していく。しかしある日、退役軍人の一人と射撃訓練に出かけた先でその男に殺害される。最後に、クリス・カイルの葬送の記録映像が流される。(Wikipediaより転載)

<感想>
米軍史上最多の、160人を射殺したというスナイパーの実話です。彼は女性でも、子供でも確実に射殺しました。その腕は天才的で、彼に命を救われたと、英雄だと心から感謝している人がたくさんいたのも事実です。そして彼は心を病んでいましたが、自分のしてきたことを後悔しているようではありませんでした。戦争ですからね。でも、どうなんでしょうね。やはり殺人が褒められることには違和感を感じてしまいます。ラスト、自業自得までは思えません。ただただ皮肉、切ない思いに満たされました。