キャタピラー

若松孝二監督。寺島しのぶ主演、大西信満。2010年。

キャタピラー [DVD]

<ストーリー>
中国戦線へ出生していた夫の久蔵が、妻のシゲ子の元に帰ってきた。四肢を失い、顔面は焼け爛れ、たくさんの勲章と共に軍神と崇められながら。シゲ子は戸惑いながらも、軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。しかし食べること、寝ること、そしてシゲ子の体を求めること、それだけの肉の塊と化した夫に、シゲ子は段々と…。

<感想>
ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞受賞作品。寺島の演技が凄いと聞き、観てみました。確かに彼女の演技は素晴らしいと思いました。しかし映画の内容は…江戸川乱歩の『芋虫』をモチーフに、著作権料の問題でオリジナル性を出し、反戦をテーマとしたらしいです。でもその奇抜な設定ばかりに目が行き、反戦よりも下手物になっている気がしました。軍神と崇められるも、実際はレイプ三昧でろくな働きをしていなかった夫。シゲ子に以前から暴力を震っていたようですが、それについての詳しい説明は無し。シゲ子の夫への態度も気紛れに見え、いまひとつ統一性が見えませんでした。反戦ならば、もっと違った表現方法があったのではないかと思います。