麦秋

小津安二郎監督。原節子主演、笠智衆、三宅邦子、東山千栄子、杉村春子。1951年。

麦秋 [DVD] COS-022

<ストーリー>
北鎌倉に済む間宮家は、植物学者の周吉と妻の志げ、長男で都内の病院で働く医者の康一、妻の史子、幼い息子2人、長女で丸の内の貿易会社で専務秘書をしている紀子の7人家族。紀子は28歳だがまだ独身で、上司の佐竹から縁談話を持ち出される。佐竹の行きつけの料亭である田むらの娘アヤは、紀子と学生時代からの親友で、共に未婚。あと2人の友人は既婚者で、4人で会うと未婚・既婚組に分かれて対立している。縁談相手は、康一の勧めもあり、紀子もまんざらでもない様子。ただ間宮家の女性陣だけは、縁談相手が40と歳が上なのを気にしていた。一方、戦争で亡くなった間宮家の次男、省二と友人で、康一の同僚でもある医師の矢部謙吉は、母たみと幼い娘の3人暮らしだが、秋田の病院への転勤が決まった。紀子はたみから、「あなたが息子の嫁に来て欲しかった」と話され、自分でよかったら、と咄嗟に返事をする。驚く間宮家だが、紀子の意志を尊重、結婚を機に周吉夫婦も大和に隠居することになり、自分のせいで家族がバラバラになると、紀子は涙した…。

<感想>
紀子三部作の二作目に当たります。これで三作品を制覇しました。笠智衆は父親役かと思っていたので、兄の役で吃驚。でも年齢を見ると、父親役をやっていた方が驚きだったのですね。紀子と友人達の会話がまた面白くて、笑いました。この感じは原節子所以なのかな。彼女は大根役者と揶揄されたこともあったようですが、私は好きです。何ともいえない魅力があります。
さて、またもや結婚話です。28って当時としてはかなり遅いのじゃないかと思いますが、そうでもないのかなあ。クリスマスを過ぎたら、と言われるようになったのは、もっと後なのでしょうか。結婚相手の世話を家族や上司が積極的にするのも驚きです。本人不在で姑と決めちゃうのも…時代なのでしょうかねえ。当時はこれで結構、上手くいっていたんでしょうねえ。いろいろ興味深いです。
ラストシーンでは切なさで胸がいっぱいになりました。小津作品に嵌り中です。