アルフォンソ・キュアロン監督。クライヴ・オーウェン主演、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン。2006年。
<ストーリー>
西暦2027年、人類に子どもが生まれなくなって18年。世界中にテロが横行し、ロンドンでも溢れる移民を厳しく取り締まっている。そんなある日、エネルギー省に勤めるセオは、元妻ジュリアン率いる地下組織FISHに拉致された。彼女はある不法滞在者のために通行証を入手して欲しいと言う。コネを使って通行証を手に入れたセオは、不法滞在者である黒人女性のキーと一緒に検問所に向かうが、途中で暴徒の襲撃にあいジュリアンが撃たれて死亡してしまう。FISHの隠れ家へと逃げ込んだセオは、そこでキーから実は妊娠しているという話をされ…。
<感想>
子どもが生まれなくなった世界に、奇跡的に妊娠した女性がいた、という設定にまず惹かれて観ました。しかし説明が充分でないため、とっつきにくく話に入り込みにくいです。夫も「難しいなあ」を連発していました。と、ストーリー的にはもう一つなのですが、映像のリアルさ、こだわりは素晴らしいと思いました。評判となっていた長回し、まるでドキュメンタリーを観ているようです。私はキーが赤ちゃんを抱えて戦闘の中を歩いていくシーンで、思わず涙が出ました。周りの人々が、兵士までもが、シンと静かになって赤ちゃんの泣き声に聴き入り、まるでキリストの誕生を見たかのように振る舞います。赤ん坊の存在ってそれくらい尊く、奇跡の産物なのです。ラスト・シーンも泣けました、子ども達の笑い声は明るい兆しを思わせる物だと信じたいです。この映画、もし私に子どもがいなかったら全く違った評価になったかも知れません。