モルテン・ティルドゥム監督。ベネディクト・カンバーバッチ主演、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド、ロリー・キニア、チャールズ・ダンス、マーク・ストロング。アカデミー賞脚色賞受賞。2014年。
<ストーリー>
1951年、数学者アラン・チューリングの家が空き巣に入られ、ノック刑事ら2人の警官が捜査に当たる。取り調べを受けたチューリングは、ブレッチリー・パークで働いていた頃を回顧する。
1927年、寄宿学校で不遇の日々を送っていた若きチューリングは、友人クリストファー・モーコムに触発され、暗号の世界にのめりこんでいく。チューリングは同性ながらモーコムに恋心を抱くが、告白しようとした矢先にモーコムは結核で死んでしまう。
イギリスがドイツに宣戦布告した1939年、チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、海軍中佐アラステア・デニストンの指揮の下、ヒュー・アレグザンダー、ジョン・ケアンクロス、ピーター・ヒルトン、キース・ファーマン、チャールズ・リチャーズとともに、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑むチームを結成する。
同僚を見下すチューリングは協調性を欠き、ひとり暗号解読装置の設計に没頭する。デニストンが装置の組立資金拠出を拒否すると、チューリングはウィンストン・チャーチル首相に直訴の手紙を送る。チャーチルは拠出を許可し、チューリングをチームの責任者に任命する。チューリングは実力の劣るファーマンとリチャーズをチームから解任し、新聞に難解なクロスワードパズルを載せて後任を探す。ケンブリッジ大学の卒業生ジョーン・クラークはチューリングのテストに合格するが、男性と同じ職場で働くことを両親に反対される。チューリングは彼女が通信傍受係の女性職員と同じ場所で働けるよう手配し、彼女に解読装置の計画を教える。
チューリングに興味を持ったジョーンは、プロジェクトを成功させるため、チューリングと同僚の関係を取り持ち、チームを結束させることに成功する。彼らの協力により、「クリストファー」と名付けられたチューリングの装置は完成したものの、ドイツ軍が暗号のパターンを毎日変えるため解読が追いつかない。デニストンは期限切れを理由に装置の破棄とチューリングの解雇を命じるが、チューリングの同僚たちは総辞職をちらつかせてこれを阻止する。クラークが両親の意向に従って職場を去ろうとすると、「独身じゃなくなればいい」と思いついたチューリングは彼女に求婚し、彼女もこれを承諾する。しかし、同性愛者であるチューリングは、自分の性的指向と現実との乖離に思い悩む。それに気づいていたケアンクロスは、彼にその事を隠し続けるよう忠告する。
最後のチャンスとして提示された1ヶ月の刻限が迫る中、チューリングは通信の傍受内容にまつわる女性職員の会話を耳にし、あることに気づく。通信内容に特定の言葉が含まれると分かっていれば、装置がそれを復号するようにプログラムすれば良いのだ。毎朝6時に発せられる最初の通信の常套句であった「天気」「ハイル・ヒトラー」という3つの単語を拾うよう調整を施すと、装置は即座に暗号の解読に成功。同僚たちは歓喜し、さっそくドイツ軍の作戦を阻止させようとするが、チューリングに「解読された通信に逐一反応してしまっては、エニグマが破られたとドイツ軍に知られてしまう」と指摘され、無念さを感じながらも思い留まるのだった。
MI6の協力を得つつ、チームが軍部に流すべき情報を選別する中、チューリングはふとした偶然から、ケアンクロスがソ連のスパイであることを知る。それに対してケアンクロスは、英ソはナチス打倒という共通の目標を持った仲間だと主張し、身分を明かせば仕返しにチューリングの同性愛を暴露すると脅迫する。MI6の諜報員スチュアート・ミンギスがチューリングにクラークの身の危険を仄めかした際、チューリングはケアンクロスがスパイであることを告げるのだが、ミンギスは既にこれを知っており、ドイツ軍との戦いを有利に進めさせるべくケアンクロスをチームに配属しソ連へ情報を流すよう仕向けていたのだと明かした。チューリングはクラークを危険から遠ざけるため、彼女に同性愛を打ち明けて婚約破棄を言い渡し、ブレッチリー・パークを去るよう促す。終戦後、ミンギスは職員たちに暗号解読の仕事にまつわる一切を破棄するよう命令し、仕事内容を口外したり再び互いに会ったりする事を禁じた。
そして1950年代、空き巣犯の仲間に懇ろだった男娼がいた事から、淫らな行為を犯したとしてチューリングに有罪判決が下り、服役か化学的去勢の選択を迫られた彼は、仕事を続けるために後者を選んだ。チューリングの家を訪れたクラークは、彼の心身の衰えを目の当たりにする。彼女はチューリングを励ますために、チームの成果が戦争終結を早めて多くの命を救ったことを思い出させ、かつてモーコムがチューリングに、チューリングが彼女に言った台詞を語りかけた。――「誰も予想しなかった人物が誰も想像しなかった偉業を成し遂げる事だってある」と。(Wikipediaより転載)
<感想>
エニグマ解読のスリリグなお話かと思いきや、同性愛者であったがあために化学的去勢を受け、最後には自殺をしてしまう何とも切ないチューリングのお話でした。ここまでの偉業を成し遂げた人の最後がこれですか?酷すぎる。エリザベス女王が死後恩赦を与えたそうですが、死んでからされてもねえ?
エニグマ解読のマシンに、学生時代告白する前に結核で亡くなった友人、クリストファーの名を付けているのも切なかったです。彼はどこまでも純粋だったのだと思います。まあ、仕事の進め方は凡人が理解できない優秀さから、傲慢で、とっつきにくかったですが…一緒に仕事はしたくないかな、して貰う能力もないですが。
エニグマ解読もとても面白かったのですが、それよりも同性愛者というだけで、これだけ迫害された時代だったということの方が衝撃の映画でした。チューリングのように恩赦をすべきと、同じように5万の同性愛者達に恩赦をという活動があるという話に、さもありなんと思いました。
演技も素晴らしく、とても良い映画でした。