リー・ダニエルズ監督。フォレスト・ウィテカー主演、オプラ・ウィンフリー、デヴィッド・オイェロウォ。2013年。
<ストーリー>
奴隷の子供として育ったセシルは目の前で白人の主人に父を殺された過去を持つ。農園を脱出し、盗みに入ったお店の黒人に救われ、働くことになる。教えられたことは「客の目を見て望みを知ろ」「相手の心を読め」「ボスが思わず微笑むように」で「白人用の顔と自分の顔を持て」だった。「ハウスニガー」という言葉は使うなと言われる。
ワシントンD.C.の高級ホテルに実直に務めていたら、ホワイトハウス付きの執事にならないかという話で面会すると、客だった事務主任ウォーナーが認めたためだが、自分が決めたかったという給仕長にも何とか気に入られ「ハウスニガーにようこそ」と言われる。
最初に仕えたのはアイゼンハワー大統領で親しみやすい男で、黒人に登校妨害していたリトルロック高校事件で軍隊を派遣する英断を下す。執事たちのところに「金持ちの坊ちゃんに負けたくない、応援しろ」と現れた副大統領はリチャード・ニクソンだった。エメット・ティル事件に興味を持ったルイスはフィスク大学を選び、公民権運動から白人専用の席に座る「シットイン」活動を始める。
大統領は任期ギリギリまでホワイトハウスに住んでいて、引越後2時間で新大統領を迎える準備をしなければならない。小さいキャロラインたちを連れて若いケネディ大統領がやってくる。セシルの妻の関心はもっぱらジャッキーの靴の数だった。独裁のフランコ政権支持の国では演奏しないパブロ・カザルスがホワイトハウスでチェロの演奏をする。妻が隣の博打打ちとの不倫や飲酒を止める。ルイスは「フリーダム・ライダー」で移動中にKKKに襲われ、逃れてそのままミシシッピで収監される。ケネディはルイスが過去2年間で16回逮捕されたことも周知して、キング牧師たちのデモを見て考えを変えたといい、ジム・クロウ法を禁じる。暗殺の速報が流れ、ジャッキーが戻ってくるが、血まみれの服を着替えるのを拒む。
ジョンソン大統領になり、「血の日曜日事件」が起きる。公民権法を制定して“ウィ・シャル・オーバーカム”という。ベトナム戦争が泥沼化し、過激な マルコム・Xは「ハウスニグロ」を批判するが、キング牧師は執事は紋切型の黒人像を変えた、彼らは戦士だと評価するが暗殺される。ブラック・パンサーになったルイスが恋人を連れて帰宅するが、『夜の大捜査線』など評価が違い、恋人の態度の悪さから出ていけとなって『招かれざる客』となった。
ニクソンが大統領になってブラックパンサーなどを弾圧する。ルイスはテロに反対して恋人とも別れる。家族の反対を押し切ってベトナムに従軍したチャーリーが戦死する。ニクソンはウォーターゲート事件で追いつめられるが、絶対辞めないを繰り返す。
民主党から出たルイスは選挙で負ける。キング牧師が暗殺される。
フォード大統領 、カーター大統領を経てレーガン大統領が妻のナンシーとやって来る。ウォーナーに何度も拒絶されていた黒人の執事の給与を増やし、管理職にもという意見がレーガンの肝いりで通る。セシルは客として妻とパーティに招待される。
ルイスがアメリカの良心のヒーローになっていることに驚き、アメリカが他国の人権ばかりいうのに、自国に厳然と差別が残っていることを悟る。辞職するというとレーガンはアパルトヘイト政策で間違っていたと態度を変えることになる。レーガンの人種政策を糾弾する集会に初めて参加してルイスと和解、一緒に収監される。
「どっこい続きがあった」。黒人が初の大統領になった。そして、オバマ大統領にホワイトハウスに呼ばれ、「案内します。」という執事に「分かっているよ。」といって中に入っていく。(Wikipediaより転載)
<感想>
アメリカの黒人差別の歴史がよく分かる映画です。これは勉強している娘も興味を持つだろうと一緒に観ました。 「シットイン」や 「フリーダム・ライダー」など娘の方が詳しく、説明してくれました。それにしてもこれだけのことが、この人が生きている間、短期間の間に起きて、変わったというのがすごいですね。
大統領役には、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・キューザック、アラン・リックマンなど大御所がほんの短い間のシーンだけに登場し、なかなか贅沢でした。
まだ単純に良い人、悪い人と判断する娘が、レーガン大統領が主人公夫妻をホワイトハウスに招待するのに、アフリカの差別問題を無視したことを理解できない、「良い人じゃなかったのか!」と言ったのを面白く感じました。
見応えのある映画でした。