田中光敏監督。市川海老蔵主演、中谷美紀、大森南朋。山本兼一の同名小説の映画化。2013年。
<ストーリー>
天正19年2月28日、雷鳴が轟く嵐の朝。太閤秀吉の命により、茶人・千利休は聚楽第内の屋敷に設えた一畳半の茶室で切腹をしようとしていた。死に向かう夫に、妻・宗恩は問いかける。ずっと想い人がいらっしゃったのでは…?利休が肌身離さず持ち続けていた、緑釉の香合。それは若かりし頃、叶わぬ恋をした高麗の娘の形見であった…。
<感想>
冒頭から美しい映像に引き込まれました。美を追求する至高の芸術家、千利休、海老蔵配役は悪くなかったと思います。身のこなしが美しく、さすがだと思いました。妻・宗恩もとても魅力的でした。お話は過去に戻るスタイルで、千利休の想い人は誰なのかを描きます。高麗の女性、へえ、こんなこともあるのかしらね、と思い、観終わった後に調べたら、全てフィクションとのこと。実在の人物が主人公なので、てっきりかなり実話に近いのかと思ってしまいました。それならそうと、最初に実在の人物をモデルにした完全なるフィクションです、と断りを入れて欲しかったなあ。でも、それじゃ興醒めですかね。フィクションはフィクションとして楽しめれば、美を感じられる興味深い映画でした。