デヴィッド・フィンチャー監督。ブラッド・ピット主演、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン。2008年。
<ストーリー>
ハリケーンが近付く中、病院で余命幾ばくもない老婆デイジーは、娘のキャロラインに頼んで、ベンジャミン・バトンという人間の日記を読ませる。それは第一次大戦が終わり、勝利にわくアメリカで生まれた男の物語。戦争で息子を失った盲目の時計職人が、逆回転する時計を作り、息子に返ってきて欲しいと願った時だった。ベンジャミンは、赤ん坊でありながら80歳の老人という姿で生まれ、産んだ母は死亡、父は彼を化け物と恐れ、敬老施設の前に置き去りにする。そこで働くクイーニーはベンジャミンを見付け、母として育てることを決意する。家を見付けたベンジャミンは生長するにつれ、徐々に若返っていく。そして施設入居者の孫娘、6歳のデイジーと運命的な出会いをするが…。
<感想>
冒頭からいきなり泣きました。母を想う娘、そして息子を想う時計職人。若い頃なら泣かなかったと思いますが、私もすっかり歳を取りましたね。さて、老人として生まれ、どんどん若返るという荒唐無稽な設定、どんな風に描かれるのか楽しみにしていました。幼児の歳なのに、見た目は小さい老人、髪はないわ、老眼だわ、足腰弱って歩けないわ。それが徐々に若返り…この過程はかなりゆっくりで、50〜60代?が長く感じました。まあ、もともと3時間近い長い映画なのですが。
初恋は不倫、ティルダ・スウィントンが素敵でした。運命の女性デイジーとの恋は、2人の年齢が交差する40代まで始まりません。デイジーが若さ故に配慮が足りなかったり、楽しい事に夢中になってしまうのが、リアルだなあと思いました。事故にいたる仮定は面白かったです、でもこの事故があったから、デイジーはベンジャミンのところに戻ってきたんですよね。
2人の恋が始まったら、もうデイジーは歳を取りたくないと泣く年齢です。自分と同世代なので、分かりすぎるほどに分かって、胸が痛みました。しかも相手はどんどん若返っていくんですから。子どもが生まれ、去ることを決意するベンジャミン。デイジーが再婚し、娘が大きくなった時に戻ってきたベンジャミンは、20代の若者でした。うわー、若いブラピ、懐かしいっ。この時のデイジーのたるんだ肌…ああ、切ないです。
そしてベンジャミンは子どもになり、記憶を失ってしまいます…これは痴呆症なんでしょうか。デイジーはベンジャミンを引き取り、母のように接します、そしてベンジャミンはどんどんと小さくなり、やがて赤ちゃんに。デイジーの旦那と子どもは、このへんどのように思っていたのかしら。誰の子?とか思わなかったのでしょうかね。
最期は愛する人の腕の中で臨終、目と目が合ってから目を閉じるというのが印象的でした。記憶が一瞬、戻ったのかしら。幸せな一生だったろうなと思います。
ある程度年齢のいった方の方が楽しめる映画かもしれません。